■問題提起
奈良本英佑(中東現代史/法政大学経済学部教員)
太田昌国(民族問題・ラテンアメリカ研究/現代企画室)
■日時 2008年12月20日(土)16時15分開場・16時30分開始(19時30分終了予定)
〜年末最終回につき、20時45分まで会場にて交流会を行います〜
■場所 在日本韓国YMCA 9階国際ホール
[所在地]千代田区猿楽町2−5−5
[地図]
http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/map1.htm
[交通]都営地下鉄三田線・JR総武線水道橋駅徒歩8分
■参加費 800円(交流会は、別途実費を頂きます)
領地の現実の状況のあまりの酷さを前にすると、パレスチナ人抵抗運動のあり方を問うことに躊躇を感じることがある。しかし、抵抗の側の内部は決して一色ではなく、命ずる者と命じられる者の間には権力関係が存在する。故ヤーセル・アラファートは、抵抗運動のなかで叩き上げられた英雄でありつつ、強力な権力を手にした独裁者だった。彼がイニシアティブをとった抵抗運動、そしてパレスチナ国家樹立を掲げた外交戦略は、パレスチナにとって何であったのか。その問いはまた、支援・連帯する人間にとっての権力観を逆照射するだろう。
今年2008年はイスラエル建国によってパレスチナ社会 が崩壊し、パレスチナ人が難民化された大災厄〈ナクバ〉から60年目の年 です。パレスチナを取り巻く状況と抵抗運動のあり方が劇的な変化を遂げたこの歳月をふり返るとき、そしてこの地における出来事が世界全体と関わりをもつことがかつてないほど明らかにされている現状に思い至るとき、この〈ナクバ60年〉が単なる回顧や一区切りとして切り縮められてしまってはならず、問題を共有しうる領域を広げるための〈窓〉として真に生かされなくてはならないと感じます。
人権や民族自決といった普遍的に依拠しうる概念が これほどないがしろにされ無力化されたパレスチナという場所にあっては、さまざまな立場の人々の活動/研究領域における経験知が共有され、多様な方法が蓄積・共有されることが必要です。その努力の表現として私たちミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉は、できるだけ多様な視点からの問題提起を受けとり、持続的に討論をする機会をもつことを選びました。参加される方それぞれによって〈広場〉が続けられ、至るところに拡散されることを願っています。